ぱよとぽよさんの商品レビュー

TVで「孤独のグルメ」を見て久住ファンになった人が手に取るんだと思うんですが、ひょうひょうとした独特の立ち位置が魅力の彼の良さが、あまり出ていない気がします。日常雑記のなかにちらっと飯屋のことが出てくるならともかく、ひたすら飲食のことだけが続くので、文章として読むと「いい大人が、食べ物のことをつべこべ言ってるんじゃない！」という気分になってしまいます。残念。

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「豪快さん」を、大昔(20年以上前）に読んだ時は、面白いと思ったんだけどなあ。泉さんの絵がちょっと汚らしい感じがするのと(成人男性向けの漫画ですからねえ）、テレビ版「孤独のグルメ」（松重氏がちょっと抑えた感じにつくっているおかげで、そこはかとなく笑いを誘う点がポイント）を楽しんだ今になって読むと、つべこべうるさいよ！！という印象になってしまいました。

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変な信仰に覆われた、関西のどこかの町の高校生を主人公にした小説です。語り口は、いつもの津村さんの淡々とどこか何かをあきらめたようでいて、でも芯はしたたかというタッチなのですが、設定があまりにもシュールでどうしても物語世界に入っていけません。いつもなら一気読みしてしまうのに、これは数ページ読むと止まってしまう……ということが続き、なかなか読了しませんでした。今までと違う場所に出て行こうと、津村さんがもがいている記録のような位置づけなのかもしれません。

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藤沢さんのエッセーは、私がまだ２０、３０代に読んだ時とは違う感慨をもたらしてくれました。穏健な立ち位置で、郷里山形のこと、今の世の中のことをじんわり語ってくれていて、ああ、こんな人が書き綴った時代小説だったから、心に響いたんだ、とよくよく納得できます。読書記録的な文章もあって、そこからたどって別の作家に手を出すきっかけもくれました。もっと長く書き続けていただきたかった、と改めて思います。

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基本的に研究書なので、読み物のつもりで手に取るとごりごり固くて読みにくいです。しかし、10年以上前に、すでに資本主義の行き着く果ての荒涼を予見してこうした本を書いておられるのは、さすがです。

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一つ一つが独立した短編（かなり短い）ですが、時々、共通した登場人物のものが出てきたりします。ちょっとシュールな川上さんらしさはちゃんと出ています。が、私はもう少し長い小説の方がいいなあ。

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同時に買った「これでよろしくて」に比べると、各編がきわめて短い短編集なので、ややモノ足りません。でも、同じ連載をまとめているこれの前の「パスタマシーンの幽霊」より、こっちの方が少しこなれた感じなんでしょうか。混んでうんざりの電車で通勤する苦痛な時間を､軽めの読み応えでやり過ごしてくれる一冊です。

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ちょっとシュールで、でも、ことんと心のどこかで何か音がするような、川上弘美作品らしい小説です。「ガールズ小説」みたいな宣伝文句を見ましたが、そうじゃないな。私の中では､ガールズ＝自らジョシを名乗るような、連れ立ってトイレに行くような幼さを前面に出した人たち（私は嫌い）、という印象ですが、この小説に登場する女の人たちは、そんなんじゃありません。みんなクセがあって、どこかで血も流していて､自分の足できちんと歩いている。だから、会合を重ねるうちに､主人公の目も見開かれていく。一度読んだら、ああ、おもしろかった、で終わる小説ではなく、折に触れて手に取りたくなる､素敵な作品でした。

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「反幸福論」の続編。新潮４５での連載という媒体の特性もあって、非常に読みやすい文章です。が、その内容は本質的な指摘で、こんなに気楽に読んじゃっていいのかね、という気になります。今の日本の閉塞状況の根源は、もちろん直近では戦後にいろいろなことを曖昧にごまかしたことに由来するけれど、おおもとをたどれば､明治維新で､列強に食われるぐらいなら自ら列強に肩を並べる、という選択をしたことなんだ、という論です。そして、それ以外には選択肢はなかったことも確かで、だからこそ「宿命なのだ」と言うわけです。明解で納得できることばかりなのですが、じゃあ、どうすりゃいいのよ？？という思いだけが残ります。それを、私たち自身が考えなくちゃいけないのです。

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「初期」で「未刊行」の作品ばかりですから、円熟期のものに比べて荒削りだったり暗かったりするのは分かっていました。でも、藤沢さんはすでに亡く、もう新しいものは出ないわけですから、十分に貴重です。それにしても、あれだけの名手でも、初期の頃は作品にも肩肘張ってこわばった感じがちらりと覗いたりもするんだなあ、と思いました。ここからこつこつと書き継ぎ、どんどん文章に魅力を増していったのだと思うと､ご本人の精進も､才能を見抜いて育てた編集者の眼力も､素晴らしい。

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なぜかこれだけ読んでいなかったのですが、藤沢さんの他の連作集に比べて､各編ごとの起伏とは別に存在する、全編を通じたドラマの流れがやや地味です。用心棒モノや獄医、同心が主人公のシリーズなら事件が起きてサスペンスが増すわけですが、こちらは女に目を注ぐ絵師ですから、無理もありません。それにしても細やかな筆致、目に浮かぶような情景描写はさすがで、やはり大好きな作家です。

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こちらもハワイに全く行ったことがない者には､欲しい情報が載っていたとは言えません。薄くて値段が安いから､まだ許す､という感じかな。基本のガイドブックを読み込んだ上で、出歩く時に持参、という使い分けをするものなんでしょうか。これ一冊でどうにかなる、のは、ハードなリピーターぐらいでしょう。これも失敗。

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リピーターにも初心者にも､的な宣伝文句で買ってみましたが、載っているのは飲食店と買い物情報のみ。私のように､文字通り、全くハワイに足を踏み入れたことがない者には、ハワイの歴史的成り立ち、観光地（買い物だけじゃないよね、観光）情報などもないと、なんじゃこりゃ、です。失敗しました。

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文章がちょっと読みにくいのですが、ネットに過剰な期待をしてはいけないよ、とその分野の専門家が語ってくれています。耳を傾けるべき論です。

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「女子」って言い方、いやですねえ。津村さんをよく理解している、年かさの編集者との女性2人の対談本は、「わかる、わかる」にあふれています。なのに☆を一つ減らしたのは、本当は一番読みたいのは津村さん自身が書く文章なので、対談はその代用にはならないから、です。あと、相手の編集者が「頑張って切り開いてきた女！」の典型として生きてきた人で（もちろん、今はその反動で津村さんの「頑張らない、ほどほど、にも理はある」という生き方に共感しているわけですが）、それでもなお、ちょっと暑苦しい感じの名残があって､割と苦手なタイプだなあと思ってしまうからです。

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