saka-ref (50代/男性)
月に10冊は本を読みます。なので、本の投稿が多め
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- 荒神絵巻 [ こうの史代 ]
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- ショップ: 楽天ブックス
評価 4
投稿日:2024年04月14日
昨日読了した宮部みゆき『荒神』を原作に、こうのさんが絵を付けてくれた。まるで映像化する際の絵コンテのようだ。やはり原作を先に読んで良かった。荒ぶる神は、その残虐な行動とは裏腹に鱗がパステル調で表現されていたのも、こうのさんらしい。本書の結末は朱音が、残された皆に語り掛ける。永津野領の溜家での、短いが幸せな日々のスナップショットがエンディングに配されたのも良かった。
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- 日の鳥(2) [ こうの史代 ]
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- ショップ: 楽天ブックス
評価 4
投稿日:2024年04月13日
旅は2年8か月後の宮城県、使われなくなった山下駅のプラットホームから続く。そして3年後、なんと故郷・銚子が出てきてびっくりした。海鹿島(あしかじま)海岸の海水プールは、私の父母の世代には現役で使われていたらしい。再び旅は続き、東北再訪。まだ震災の爪痕が残る風景。少しずつ復興を遂げる風景。彼(雄鶏)は未だ妻と会えない。本書の最後は東海村。続く特別書き下ろしの「小さな世界」は、擬人化で原子核の壊変を描く。原子炉が被災したこの震災の象徴でもある放射能の科学的な一面であるだけに、少し複雑な思いで読了。
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- 日の鳥 [ こうの史代 ]
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- ショップ: 楽天ブックス
評価 4
投稿日:2024年04月11日
妻を探す鶏に仮託して、東日本大震災の被災地を訪ねる作者。鶏の目が切れ長で、独特の雰囲気を醸し出す。発災から5ヶ月後の岩手県釜石市と大槌町からこの物語は始まる。絵だけを見れば、何気ない風景だったり、震災遺構になるような津波の爪痕だったり。時々「雄鶏を探せ」みたいに、小さな小さな鶏を描く遊び心が楽しい。
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評価 4
投稿日:2024年04月04日
敦賀を拠点とした情報収集中の与一郎たちは、越前府中へ活動の場を移した。そこで徳川家康嫡男・信康の家臣が謀反との情報を得て、与一郎がその暗殺を実行。その功績により馬乗りの身分になる。秀吉軍の中で出世することに喜ぶ与一郎を見るのはちと複雑だ。長篠の戦いの場面の臨場感は著者の得意とするところだ。植田茂兵衛の登場でニヤリ。そして、後に信長公記を著す太田牛一まで登場! 於市からは和音の結婚・出産を告げられ、終章では於弦の懐妊を目の当たりに。これで与一郎は吹っ切れた……のだろうか?
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評価 3
投稿日:2024年03月30日
著者の作品は『官僚たちの夏』以来2冊目。題名にある羽柴秀吉と村上海賊の総大将・武吉が直接会うのはかなり終盤だ。まず海賊の厳しい掟の場面。そして戦国〜織豊〜江戸という激動の時代を通して、武吉の波乱の人生が描かれる。現代人の目からは「負け組」に映るだろう。海賊の矜持から瀬戸内が権力者の「池」に成り果てるのを恐れはするが、だからと言って権力者に媚びず、義と誠の精神をもって毛利、小早川に与した武吉。結果論としてその選択は失敗だったが、日本人の好む生き方であった。
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評価 4
投稿日:2024年03月30日
人撃ちのために心身耗弱となった玄蔵は青梅で転地療養。そこは女忍・千代の故郷でもあった。一方、定町廻方同心・本多にも、旗本・鳥居が直属上司である南町奉行に。だが、それが本多を事件の核心に迫らせる皮肉なことに。本多が直接に玄蔵を助けるという筋書きを想像していたのだが、各々が落とし前をつける結末。妻子も無事だったのは大団円だが、ややご都合主義的かも。3巻完結なら、それもまた良し……かな。
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評価 5
投稿日:2024年03月30日
総髪だった玄蔵が、狙撃任務のために髷を結い、色黒を隠す化粧までしなくてはならない。今度は江戸市中で登城途中の旗本を狙うのだ。多羅尾とは生理的に相容れず、妻子のために従わざるを得ない。この任務を無事に終えても玄蔵と妻子は口封じされてしまうかもしれないのに……。南町奉行所同心・本多は狙撃犯の絞り込みにまで迫った。果たして正義はどちらにあるのか? まあ、公儀目付・鳥居が善人とは思えないので、これからの展開と、狙撃を成功させた玄蔵の心身の変化が気になるところ。
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- うらなり (文春文庫) [ 小林 信彦 ]
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評価 4
投稿日:2024年03月28日
漱石『坊ちゃん』にインスパイアされた作品だった。それも地味なキャラクター・うらなり君目線の物語なのが面白い。表面上はうだつの上がらない彼だが、坊ちゃん先生に「五分刈り」というあだ名を奉り、心中では様々な異論反論を持ちつつ生きている。それが人というものの姿に思える。明治〜大正〜昭和初期まで、うらなり君が生きた軌跡を描くことで、それぞれが人生の主人公たり得ることを認識させてくれた小説だった。
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評価 4
投稿日:2024年03月28日
近畿・北国で一向宗を敵に回した信長。秀吉麾下となった遠藤改め大石与一郎は、越前の動向を探る間者として敦賀へ戻る。しかし、浅井家再興と信長への復讐のため、於弦に夫婦約束の反故を告げたことから大変なことに……。同時に、時代は越前一向一揆から長島征伐へと動いていく。若き日の藤堂高虎、石田三成も登場する小憎らしい演出。そして、越前から主従関係となった大和田左門は、果たして敵か味方か? そんな心配をはらみながら読了。
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評価 4
投稿日:2024年03月18日
新たな心得シリーズは、姉川の戦い後、敗軍の将・浅井長政の家臣、遠藤与一郎と郎党・弁造が主役という、最初からハラハラさせる設定。与一郎らが、小谷城から長政の長男・万福丸を一時は敦賀に落ち延びさせたが、於市の方の手紙が要因で織田方へ投降。万福丸は獄門首になり果ててしまう。そこから与一郎の復讐が始まる。織田方の足軽となり、万福丸の首を刎ねた安達佐兵衛は仕留めたが……。羽柴秀吉が終盤与一郎の前に現れ、復讐は意外な方向に向かいそう。戦国時代も面白いな〜
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評価 4
投稿日:2024年03月14日
以下はこの小説の感想で、史実ではないという前置きが必要だろう。本能寺の変後にいち早く天下人に手が届いたように見えた秀吉も、軍師・官兵衛がいなければ踏ん切りがつかなかった。家康が暗愚な織田信雄に与したのは秀吉が嫌いだったから(笑)。この物語は、そんな二人の独白によって構成される。信雄の独りよがりの無条件降伏は、危機的な兵站の家康軍を結果的に救うことになった。石川数正の出奔も、敵(秀吉)・味方(家康)双方を欺き、ただただ秀吉が徳川家を滅亡させない未来を信じた末の行動に思えた。面白い歴史の見方だな〜
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- ギガタウン 漫符図譜 [ こうの史代 ]
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評価 5
投稿日:2024年03月05日
漫画の符丁を解説する絵として鳥獣人物戯画を下絵とし、それをここまで躍動感とユーモアに富んだ作品に仕上げるこうのさんには脱帽である。中でも主役のウサギのみみや、カエルのあおい、サルのきい子にちょっとした小物(耳のリボン、学生帽、スカート)を描き加えるだけでキャラクターを成立させている。もちろん、漫符の解説も判りやすいし、意識せずに(各漫符を)そういう風に読んでいたことへの気付きにもなった。
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評価 4
投稿日:2024年03月01日
第1章は社会的共通資本の総論。経済学の講義のようでとても難解。第2章以降は、農業・都市・教育・医療・金融・地球環境と、個別具体的な各論で、こちらは判りやすかった。農業基本法が、個別農家と一工業事業所とを同列に位置づけていることへの問題提起をしているが、まったくそのとおり。「輝ける都市」の人間を無視した都市構想の問題も然り。地球環境での炭素税の考え方を発展させて、国連単位で炭素量に応じた基金への拠出+森林面積に応じた基金からの交付金という制度があれば、発展途上国の森林保護の動機づけにならないだろうか?
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評価 4
投稿日:2024年02月27日
太平洋戦争直前、米英日の不公平な軍縮条約は国際連盟脱退につながり、日本海軍が大型軍艦造船に舵を切る。第2号艦として長崎で建造される武蔵を、まず造船大国日本の技術力の面から記述。艦建造の各段階における担当者・作業員たちの群像である。しかし、時代は航空兵力が中心になり、戦艦ではなく空母が海洋戦の主力になると山本五十六大将などが予見していたにも関わらず大型戦艦が建造された。戦隊に編入後はさして活躍することなく米航空兵力によって撃沈される、悪手といえる軍の戦略に翻弄されていく戦艦武蔵の最期は読んでいて辛かった。
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評価 4
投稿日:2024年02月21日
哀愁を帯びた同題の歌はお気に入りだ。管見にして知らなかった深見千三郎師匠。浅草フランス座というストリップ劇場で芸人としてスタートをきったタケが、そこで修業する中で、踊り子、照明係、そしてコント仲間との生活を描き出す。B&Bに触発されて、東京で毒舌漫才を創出したことを初めて知った。解説は先輩の井上ひさし。たけしの後輩である「いのうえ」がゴーストライター? とはいかないまでも、かなり影響を及ぼしていたような筆運びは興味深い。
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