yuusaku2009さんの商品レビュー

金をかけたハリウッド怪獣映画

自分の小学生時代は東宝特撮映画の全盛時代だった。特にこの作品の本家（？）とも言える、ゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラが勢揃いをした「三大怪獣地球最大の決戦」や「怪獣大戦争」は文字通り怪獣オールスター映画で、子ども心に大興奮をしたものだ。この頃は、怪獣の名前はもちろん覚えたが、俳優の名前よりも、特撮の円谷英二の名前の方が有名だった。漫画雑誌では良く怪獣特集が組まれ、円谷英二の名前がクローズアップされていた。やがてテレビの世界でもその名前を見ることが出来るようになり、「ウルトラＱ」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」と続くシリーズは、毎週テレビの前に釘付けだった。
今見ると怪獣は着ぐるみであり、特撮シーンの映像もお寒いものだった訳だが、それに比べるとこの映画の怪獣たちは非常にリアル（ＣＧ？）であり、映像の迫力はさすがハリウッド映画である。金のかけ方が違うのだろうなぁと思う。

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ミュージカルシーンが少ない

ヒットメーカーの矢口史靖監督作品としては、興行的には大コケしたと言われる。確かに自分も公開から1週間経った頃劇場に行きましたが、客席は既にガラガラの状態でしたね。
理由は分かる。純然たるミュージカル映画かと思ったら、意外とミュージカル・シーンが少なく、骨子はロードムービーだったという訳である。見る者の期待と内容の齟齬（自分もそう感じた）が大きかったのだろう。
また、客を呼べるスターが出ていなかったことも大きな要素だろう。主演の三吉彩花はオーディションで選ばれているが、一般的には殆ど無名。彼女に次ぐヒロインがやしろ優というのも微妙、彼女は物まねタレントと認識されており女優ではない、監督が選んだのだろうが、ここはセンスがずれている。宝田明は往年のスターの貫禄はさすがに持っているが、御齢85歳で客を呼ぶのは無理だ。一番旬なのは、ムロツヨシだがあくまでも脇で力を発揮するタイプである。
三吉彩花の容姿は魅力的だったが、本当にもう少しミュージカル（妄想だが）シーンを多く入れて欲しかった。しかし、ラストは出演者全員出てのハッピーエンドの大団円ミュージカルシーンになったのは良かった。

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井上堯之の音楽と映像は魅力的

冒頭、ショーケンの寸劇が終わった後のタイトルバックに井上堯之の音楽が高鳴る。実に格好良い、井上堯之の音楽に外れなし、本当に才人だと思う。
映像はオランダ・アムステルダムに全編ロケし、スタンダードサイズで撮影されている。1975年のこの頃の映画はシネスコ全盛時代だったと思うが、名カメラマン岡崎宏三の意図なのだろう。「約束」以来の岸惠子、三国連太郎との共演、劇団四季の貴公子と言われた松橋登もキャスティングされ、出演者は魅力的なのだが、内容的には終盤アラン・キュニーにショーケンがおかまを掘られる辺りから、混乱しグダグダになり、唖然とするラストがやってくる。そこは残念。
今回はショーケンが亡くなったので、東宝での出演作で未ＤＶＤ化だったものを蔵出ししたが、この作品に封入されているチラシに同時上映と記載されている「櫛の火」は、同時発売された「青春の蹉跌」の神代辰巳監督作品であるにも関わらず、草刈正雄主演故未だにソフト化されていない。ショーケン主演以外で東宝で神代辰巳監督が撮った作品では、他に三浦友和主演の「遠い明日」（A・Ｊ・クローニン原作）もあるが、これも一度もソフト化されていない。両作とも当時興行的に全く振るわず地味な内容だが、日本映画史に残る監督である神代辰巳の業績を広く知らしめる意味でも東宝はＤＶＤ化してくれないものか。黒澤作品や怪獣映画ばかり出していれば良いと言うものでもないだろう。会社の歴史から言って、映像作品を一番多数抱えているのは東宝ではないか。こんなことを言ったら不謹慎になるが、主演俳優が亡くならない限り東宝はやる気はないのだろうか。例え商売にならなくても、文化的価値も重要だと思うが、今の（映画会社ではない）東宝に言ったとしても詮無いことか。

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それぞれの鑑賞歴

スタンリー・キューブリック監督作品を初めて見たのは、中学生の頃親に連れられてテアトル東京でシネラマにて鑑賞した「2001年宇宙の旅」だ。その後「時計じかけのオレンジ」・「博士の異常な愛情」を大学生の頃見て、ＳＦ映画専門の人かと思っていた。しかし、映画を見続けてゆく中、この初期３作に収められている内、一躍彼の名を高らしめた作品として「現金に体を張れ」を知り、「突撃」はカーク・ダグラス主演故昔は良く名画座にかかっていて見に行ったものだ。残る「非常の罠」は中編故（68分）映画館で見た記憶はなく、大分後にビデオ発売された時に買って見た。こうして改めて３作がブルーレイボックスとなって纏めて発売される世の中になるとは、実に感慨深いものがある。

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ゾンビ映画への道

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」、「ゾンビ」等でその地位を確立したジョージ・Ａ・ロメロ監督の作品歴としては、1973年製作で丁度前記の２作の間に撮っている。ホラー映画いうよりも、怪物が出てくる訳ではないので、細菌兵器の事故によるパニック・サスペンス映画である。ただ、映像描写、演出に後に数多く撮るゾンビ映画の萌芽はある。
特典映像にリン・ローリィがインタビューと座談会で出てくるが、映画では痩せた狂気的な少女というイメージであるが、特典映像の姿は太った単なるおばちゃんだった。

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リアルタイムで見ていた青春刑事ドラマ

この頃の中村雅俊といえば「俺たちの旅」だが、この「勲章」はそれより前”俺たち”シリーズの第1作と位置付けられている。自分は大学生で両作ともリアルタイムで見ていたが、「俺たちの旅」はさすがにこの齢になって見ると恥ずかしいかと思い、松田優作ファンとしては廉価で出ていた「勲章」の方を買ったみた。
ブルーレイとはいえ、全然レストアしていないので画質は酷いものである。40年以上経ってフィルムの劣化も激しく、時々テレビで放映されるが色味も黄ばんだそのままの画質である。しかし、フィルム撮影だったため現存していただけ良しとすべきだろう。例えばＮＨＫの大河ドラマは、ＶＴＲ撮影だったためテープを使い廻された結果、1980年の「獅子の時代」以後からの作品しか完全には残っていない（正確には76年の「風と雲と虹と」、78年の「黄金の日々」は80年以前の作品としては奇跡的に残っていた）。
刑事ドラマとは言え、若い松田優作・中村雅俊の青春ドラマでもあり、今見ても面白さは損なわれていない。ゲストで出てくる俳優たちも当たり前だが皆若い（亡くなった方も多い）。19話と中途半端に短いのは当時の大人の事情か。

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今、芦川いづみブームなのか？

芦川いづみと言えば1968年に藤竜也と結婚し芸能界を引退していて、北原三枝、浅丘ルリ子と並んで、全盛時代の日活映画を支えたスタア女優だが、引退から数えても50年以上前の話である。それがここのところ、業界では芦川いづみ映画の回顧映画上映やＤＶＤの発売とちょっとした芦川いづみブームになっている。今の若い人は全然知らないだろうし、知っている人間は自分のように60代以上の人間だろう。しかし、今の下手なアイドルよりずっと可愛い容姿は、業界人には人気があるのだろうか。今回の本も、キネマ旬報の女優シリーズではなく、天下の文藝春秋社から出版される快挙である。

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反権力の社会派サスペンス

昔はこういう反権力の姿勢を露わにした社会派サスペンス映画は結構あったのだが（山本薩夫・今井正・熊井啓監督等）、今の日本映画界はコミックの映画化が中心になってしまい、文芸小説の映画化も少なく、非常にジャンル的に狭まってしまった感があるのは残念である。
現実に起きた（起きている）事件を素材にして、内閣調査室の陰謀（？）を描いているだけに公開後は賛否両論だった訳だが、こういう主張も良いではないか。現在、政府自民党や安倍首相を批判すると、ネットでは反日、日本から出ていけと叩かれる風潮になってしまっているが、新聞や週刊誌のようなジャーナリズムが時の政府・権力を批判できなくなってしまったら、それは独裁国家だろう。それこそネット住民が嫌いなはずの中国、北朝鮮、韓国と同じになってしまうではないか。これらの国々と同様に自由な言論のない国家で良いのか。大いなる矛盾であることを彼らはしている。
自分もこの映画を全面的に支持している訳ではなく、それほど優れているとは思わないが、こういう映画を世に問う意義はある。ただし、主演のシム・ウンギョンの日本語はやはり変である（当然だが韓国人が話している日本語である）。これは日本人の女優が演じて欲しかったが、内容が内容だけに芸能プロ、女優本人も腰が引けたのかなぁ。そう考えると、松坂桃李は大したものである。アイドル的二枚目で出てきたが、俳優としての意識は高く、度胸は据わっているのだろう。

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女優誕生

自分が浜辺美波を意識したのは、ご多聞にもれず「君の膵臓をたべたい」からであるが、実は2011年小学生の時に東宝シンデレラに選ばれており、翌年にはテレビドラマ（「浪花少年探偵団」）や映画（「逆転裁判」）に子役として出ており、当時自分も見ているが全然意識をしていなかった。その後もコンスタントにテレビ、映画に出ており結構芸歴は長いことになる。
その透明感ある美貌、今時珍しい正真正銘の清純な雰囲気、芸能人としての嫌味や変な癖もないので、彼女を嫌いな人はいないだろう。自分も久々にファンになってしまった女優である。この本でも高校を卒業して、本格的に職業として女優をやってゆく覚悟を語っており、プロフェッショナルな女優誕生の一冊である。

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スタンダードな奈月セナ

奈月セナはもう何作もブルーレイ（ＤＶＤ）を出しているが、この作品も悪くはないのだが、突出したところがない、本当に可もなく不可もない標準的な作品に仕上がっている。彼女の美貌と肉体は申し分がないので、誰が撮ってもどう撮ってもある程度の満足感は得られるだろう。

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ヒトラーと渡り合った女傑の生涯

レニ・リーフェンシュタールを回顧する新作ドキュメンタリーと思っていたら、1993年製作（1995年公開）作品だったんですね。本人の回想、インタビューと実際に撮った監督作品（「意志の勝利」、「オリンピア」等）の映像で構成される、1部2部に分かれた３時間を超える超大作である。生年からすると当時90歳超、まだまだ矍鑠として自信満々、悪びれることなく自らの作品を堂々と語る。さすがヒトラーと渡り合った女傑だけのことはある。老いを感じさせないオーラがある。この作品の後、まだ10年を生きて101歳で生涯を閉じる。悔いのない人生だったろう。

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増村保造監督最後の傑作

文字通り増村保造監督最後の傑作と呼ぶべき作品である。1978年キネマ旬報ベストテン第２位、梶芽衣子は当然の主演女優賞受賞の熱演である。増村保造監督は大映の所属監督だったので、数多くのプログラムピクチャーを撮り、中でも若尾文子と組んだ作品群は傑作が多いのだが、意外と当時のベストテンに入選している作品は少ない。それでも、独立して最晩年に撮ったこの作品と「大地の子守歌」は増村監督の力量を感じさせる日本映画史に残る傑作である（自分は大映で撮った「赤い天使」、「清作の妻」、「卍」、「刺青」、「夫が見た」、「妻は告白する」、「盲獣」、「大悪党」の方が面白いし、優れていると思いますけどね）。
残念ながらこの作品の後は２作監督しているが、あまり映画を撮れずテレビの仕事（脚本）が多くなってきて、1986年62歳で急逝してしまう。当時の映画界の現状を考えると、これ以上の映画を撮れたかどうか分からないが、惜しい才能の監督を亡くしたものである。

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森田芳光監督ロマンポルノデビュー作

森田芳光監督は「の・ようなもの」で商業映画デビューし、間にシブがき隊の映画を挟んで、3作目がこの作品（1982年）。日活ロマンポルノとしては１作目で、翌年もう１作「ピンクカット 太く愛して深く愛して」を撮っている。同年松田優作と組んだ「家族ゲーム」がキネマ旬報ベスト・ワンとなり、一躍才人監督として評価を高めるのだが、再度松田優作と組んでベスト・ワンとなった1985年の「それから」をピークとして、以後多種多様な作品を撮るが、前記２作を超える作品を残せないまま2011年、61歳の若さで亡くなってしまったのは残念だ。
ロマンポルノに手を染めた貴重な作品であるが、まだ若書きである。当時のロマンポルノの通例で上映時間は67分と短いため、岡本かおりのストリッパーと彼女に憧れるファン宮脇康之の日常を淡々と綴ってゆく。そんなに大きなドラマチックな事件が起きる訳ではない。岡本かおりはこの後も何作かロマンポルノの主役を張るが、宮脇の方はこれ1作でこの映画に出たことを後悔していると聞く。しかし、ロマンポルノから出て人気スターになった人は何人もおり（風間杜夫、内藤剛志等）、森田芳光監督に起用されながら、その才を見抜けず、このチャンスを生かせなかった己の不明を恥じるべきだろう。

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内藤剛志大活躍

神代辰巳監督は「一条さゆり・濡れた欲情」で一躍評価（キネマ旬報ベストテン第8位）され、ロマンポルノの花形監督から一般映画まで1970年代を代表する監督にまで上り詰めるが、その彼が最後のロマンポルノとして撮ったのがこの作品。ストリッパーを題材として始まった彼の作品歴（ロマンポルノ以前の「かぶりつき人生」）が、ロマンポルノとしてはストリッパーを主人公とした作品で閉じる、良い因縁めぐりあわせか。
タイトルに美加マドカという当時のアイドル・ストリッパーの名前を冠しているが、彼女は本職の役者ではなく、演技もぎこちない。故に、この作品の実質主役は内藤剛志である。美加マドカに振り回される若者を、絶妙な演技で見せてくれる。フィルムに映っている時間は、美加マドカより多い位の大車輪の活躍ぶりである。この若者が30数年後、渋い捜査一課長となって主役を張るなど、当時誰が予想できただろうか。内藤はイケメンではないので、地味に永年脇役をこなして、犯罪者や悪役も多かったが、最終的には刑事役を十八番として「科捜研の女」を経て、捜査一課長になった。本当に役者は誰が、どのようにしてスターになるか分からないものである。

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美貌の高倉美貴

公開当時、和製（日活ロマンポルノの）オリビア・ハッセーと言われた美貌は、現代の女優と比べても遜色はない。そのうえ清楚な雰囲気と透き通るような肌、何でこのような娘がロマンポルノにわざわざ出るのだと言われたものだ。そのためかどうか、日活での活動期間は僅か1年、出演作も５作を残したのみである。その後、テレビに少し出ていたが大成はせず、何とあのねのねの原田伸郎と結婚して引退してしまう。
この作品は団鬼六原作のＳＭ物といっても、現在のＡＶ作品と比べたらソフトなものである。個人で楽しむＡＶ作品と多数の観客と見る映画作品という違いは大きい。

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