良く工夫された良い品だと思います。ですが、いくつか気づいた点があります。組立後の背が 250cm 程度と非常に高いにもかかわらず、小さく梱包して安価に輸送して利用者が組み立てる必要のある組立家具として売られているという本品の特性に由来するものです。
1. 指定の組立手順の危うさ
本品は大まかに言うと下段、中段、上段と突っ張り板から成ります。説明書の組み立て手順には、まず下段と中断を接続するように指定されています。しかし、下段と中段の接続は極めて危ういものであり、組立作業中にこの本棚を傾けるのは非常に危険です。一方、上段と中段の接続は非常に頑丈です。なので、まずは下段を組み立てて設置予定場所の付近に置き、次に上段を組み立て、そこに中段を接続し、突っ張り板に金具を取り付けておき、それから下段の天井と中段の床のダボ穴に接着剤を入れてダボを入れ、その直後に連結済の上・中段に突っ張り板を挿し込んでそれらを下段の上に置き、接続金具で中段と下段を固定し、最終設置位置に移動させるという手順の方が安全で作業しやすいと思います。上段と中段を接続しても合計の重量は大人ならば十分に一人で扱える範囲に収まっています。ただ、この場合に問題になるのは、天井の高さに応じた上段と中段の固定位置でして、残念ながら実際の寸法を見ながら決めることができなくなります。そこで、天井の高さが何cm~何cmならば上段と中段のどの穴を繋ぐべきかの表を予め作って説明書に載せておいた方が良いのではないかと思います。
2. 強度の危うさ
中段と下段の接続が極めて弱いゆえに、横方向の力には極めて弱いです。ですが、もともとこの商品は、棚板の横側にも穴が開いているとか、固定棚板を留めるネジ頭を考慮していないといった点からも分かるように、見た目よりも実用性とか柔軟性の方を重視した商品です。それに元々中段を壁に固定する必要があります。つまり壁に傷をつけることを初めから許容するしかない商品だと思います。なので、金具を買い足して追加で何か所か壁に固定しておいた方が安全だろうと思います。
どちらの問題も、コスト上昇を許容して中段と下段の接続に強力な金具を採用するなどすれば解消できそうですので、メーカーの方にはそちらをご検討いただいても宜しいかもしれないとは思いますが、この商品を買う方は十分に注意しておいた方が良いと思います。