中山元先生の訳でやっと30年越しに『存在と時間』を読破できました。
大学時代に挑戦しましたが、岩波文庫の桑木務訳では訳文の意味が分からず断念。次に、ちくま学芸文庫の細谷貞雄訳では、訳文はこなれているが概念が分からず、序論を突破できず断念。
50代になり3度目に挑戦。中山訳で全8巻を1年かけて読みました。やはり、分厚い解説があるのとないとでは理解が全然違います。解説では、ハイデガー独特の概念やその背景の説明がされており、また前節参照とする所も飛ばさずに丁寧に触れてあり、著作全体を「見通し」をもって読むことができました。そのあと細谷訳を読み直したら今度はすんなり頭に入ってきました。「あらかじめの知識(=予持?)」をもつことは非常に大切です。
光文社古典新訳文庫シリーズの中山元訳は『存在と時間』の初読者におすすめです。