私、新刊本を定価で購入することってあまりないんです。(読者として失格でしょうけど)期待値ばかりが高ぶって購入後の物足りなさや後悔をするのが嫌で、発売後しばらく経過してから、購入者の感想や作品レビューを参考に買ったりしてます。加えて、他社サイト含め、値引きしているときやポイント還元、クーポン利用などを待とうとか思ってしまう。貧乏くさくてすみません。
でも、この作品は我慢できなかった。(発売前に重版が決まり)紙本の予約に出遅れたこともあって、電子本で購入することになりましたが、読み終えては表紙に戻ってまた読み返す、最後まで行ったらまた初めに戻る、と繰り返して読んでしまうくらい、すごい1冊。買って本当に良かった。
先生にとって初コミックスとのことですが、ストーリーと作画の雰囲気が本当にぴったりで、だからこそページの1コマ1コマに釘付けになって、ある意味中毒のように夢中で読んでしまうのだと思います。
孤独で自分の存在や居場所に自信も確信も持てない二人が近づいていく過程で、それぞれの変化(険しさの強かった千夏の表情がだんだん円やかなものに変わっていったり、暗やみの世界が常だった佳澄の日常が徐々に満ちていく様だったり)が、丁寧かつ繊細に表現されていて、先生の描画能力の素晴らしさに、ため息どころか唸り声が出ちゃいます。
BLという枠を超えて、人との出会いや関わりが、自分にも相手にも影響を与え、居場所や生きる糧を見出していくという、大切な気づきを教えてもらった気がします。(あ。私、毎日バカで元気ですよ、念のため。笑)
ページの途中に千夏の家族写真があるのですが、ここでも色々と想像してウルウルしてしまうんですよね。だから、作品の中で、千夏側のことをもっと深く掘り下げて描いて欲しかったなとも感じました。でもそうすると1冊では収まりきれないかな。この1冊で完結という形が最良なのかもしれないですね。
なにより、先生の次回作や今後がすごくすごく楽しみです。