傭兵あがりのオクジーがヨレンダに「文字が読めるってどんな感じですか」と尋ねた時のヨレンダの答えが「文字は、まるで奇蹟ですよ」と。「あれが使えると時間と場所を超越できる。」「200年前の情報に涙が流れることも、1000年前の噂話に笑うこともある。そんなの信じられますか」と続きます。
このセリフを読めただけでこの本を読めて良かったなあと思えました。聞いたところよれば江戸時代にも幾何学が流行ったそうな。この本でも地動説に夢中の人間。多分、そんなのは当時の人々の実生活に役立つものではないでしょう。でも人は知りたい気持ちを抑えられない。それこそが進歩の原動力。まったく人間の知的好奇心には驚くばかり。そしてそういう情報を知ることができるのも文字と教育の賜物です。この巻はこの物語の最も良い部分かもしれません。