話は少々ややこしくなりますが、本書「ゲゲゲの鬼太郎 少年マガジン オリジナル版」は2巻の途中まではタイトルは「墓場の鬼太郎」です。 ただ、貸本時代の角川から出ている「墓場の鬼太郎」のようにどちらかというと怪奇色が強いというわけでなく、その後雛形となると言っていいある程度の鬼太郎のイメージ像ができはじめた記念すべき作品でしょうw というわけで、この書タイトルは「ゲゲゲの鬼太郎」ですが、当時のタイトルでは全編墓場です。
さて、実際の内容ですが、70年代くらいに「週刊実話」で連載されていた異色作を除けば、55年・60年及びその後ボンボンで掲載されていた鬼太郎よりもまだかなりダークさは残っております。
個人的にはやる気のない鬼太郎が大好きです。 この頃の鬼太郎は残飯あさりは勿論のこと、タバコは平気でふかしますし、特にこの1巻では「地獄流し」「おばけナイター」で垣間見られるようにある意味人間にとって怖い人物として描かれております。 尤も完全に悪というよりかは寓話的なニュアンスが強いですがw
内容的に同時期のものは中公文庫よりも出ておりますが、巻頭のカラー付録が充実していることと、時系列的に収録されていることから、コレクションとしてはこちらの方が初心者には分かり易いかもしれません。
ちなみに、400ページを超えていますから読み応えはばっちりです。
不可解なのは、2巻よりも1巻の方が古い作品のはずなのに、複写による原稿のぼやけ方は2巻の方が酷かったですかね??? 2巻連載時の原稿に何か大きな問題でもあったのでしょうか。。。
★蛇足になりますが、本レビューは2012年に文庫本バージョンの書籍を購入した際のものです。 今回電子書籍で3巻まで無料で公開されておりましたのでポチリましたが、これで「ゲゲゲの鬼太郎」の世界にはまった方は、当時まだなかった京極夏彦氏監修の大全集を中古でもコンプしていく方がいいかもしれません。 デジタルリマスター処理は賛否はありますが、矢張りかなり綺麗な状態に仕上がっておりますし、紙質はコレクター向きですし、何よりも大判になっているので迫力が違います。 既に大全集も中古市場ではかなりお安く購入できる場合もありますから、コンプを目指される方は選択肢に入れても損はないかと思います。