いくつかの蛭子能収の漫画、たいていのエッセイを読んだものならば、本書の蛭子氏の回答や言い回しは既読感が否めない。しかし、その思考自体が飛び抜けて常識を逸脱している蛭子氏だからこそ、何度読んでも、新しい発見や、脱力さえ感じる納得感を覚えるところが彼の書籍の魅力だ。 蛭子能収はなんだか凄い。でも彼のようにはなりたいとは思わないし、尊敬もできない。リスペクトとディスリスペクトのはざまを漂う、読後感は、彼の存在をより自身の中で際立たせ、自分自身にも刺激を受ける、奇特な、体験といえるだろう。