他の方がレビューで「橘玲氏の『言ってはいけない』と併せて読むこと」をオススメしていたので、「言ってはいけない」の後に読みました。二つの書は、ほぼ同内容を扱っていながら、橘氏の視点がジャーナリストという、世間に衝撃を与える、ということに重点を置いた書き方であるのに対し、本書は学問的で、行動遺伝学、教育心理学、および進化教育学に基づいた視点から、今ある状況を科学的に正確に把握し、よりよき社会、未来にどう生かせるか、というスタンスで書かれていることに、大きな違いがあります。双方ともこれまでタブーとされていたことが明記され、ショッキングでかつ読み易いのです。本書がきちんとした研究に基づいて書かれているとはいえ、素人にも大変理解しやすく、かつ親しみ易い方法で書かれていることは、驚くべきことです。自身の子育て、自身の生き方、社会の他の人々との関わり方など、色々な分野で参考になる考察が多く含まれています。何より、「言ってはいけない」と比べ、前向きで、読者に視点変えて物事を捉えるヒントを与えてくれると思います。