浅田次郎さん、大好きです。「笑えて泣ける」という氏の魅力が存分に発揮された本作。いったい何か所で笑い、涙したことか。映画化を機に電子書籍版を購入しました。上下巻持ち歩けるって、いいですよね。
映画では主人公になっている天才作家・北白川右京は、冒頭はまつ毛の長い美青年系といった趣。ところが次第に「ひどいワキガ」だの「シメクソ系作家」(意味は本文をどうぞ)など散々な言われようになり、仕舞には「イボ痔がキレてる」とか「糞をひるのも我慢して執筆」と……それって浅田さんじゃん! 『勇気凛凛ルリの色』などのエッセイに親しんでいる読者としては、笑いが込み上げてきます。
出版業界の不況を嘆いてみたり、アメリカ人を滅茶苦茶にけなしたり。これって今の浅田さんは書かないだろうなぁ~と思う箇所も多々。こんなパワフルではちゃめちゃな作品をまた出してほしいものだ。映画も楽しみです。