子どもの頃、休みの日、おじいちゃんと一緒に銀座に行き、開店まもなく食べる習慣がありました。あのとき、ネギ入れ放題で、いつもの初老の方が山盛りにネギを入れていたのを思い出します。
少し味が変わった・・・と感じることはないでもないのですが、子どもの頃はラーメンブームでもなく、いまは、たくさんのラーメン屋さんがあるので、むしろ、変わっていないところで「変わった」と感じているのかも知れません。現に僕は、しなそばを注文しては食べているのですから、やはりうまいことには変わりはないのでしょう。
バリエーションが広がったので、新しいラーメンにもチャレンジしてみたいと思いつつ、正統派の醤油、手打ち風麺に落ち着いてしまいます。名古屋コーチンの丸鶏、似ているなと思ったのは佐野実のラーメンです。あんなにおいしいのに、評判がよくなかった。直久の「醤油の角が立ち」「すするとだしのうまみが喉の奥でぱーっと広がる」こういうラーメン、いまはあまり人気がないのかな、とも思います。でも、ラーメンの基本だと僕は思っています。
どうも、味音痴(という言葉はいけないのかな)の人が増えていると感じます。直久さんには「かたくなに、昔の製法、昔の名古屋コーチンの味を守ってほしい」と言いたいと思います。うまいのですから、余計なことをせず、世間様の評判も気にせず、この味を守ってほしい。愚直に頑張っていただきたいと願います。