メーカーに問い合わせると、「蔵付き酵母のみで発酵」ということなので、濃口は変則的だが試しに購入(普段は薄口のみ)。
本醸造と言っても蔵付き天然酵母のみは稀少なので(蔵で作ってるお醤油自体わずか)。
『天然醸造』がすなわち蔵付き天然酵母のみ、というメーカーのニュアンンスだったが、
『天然醸造』を謳っていても金属タンクで酵母を添加して発酵させているメーカーもあるので、統一的な基準があるわけでも無さそう。
(そういえばリピートしていた丸島の薄口、以前よく行ってた自然食品店である時から忽然と姿を消し、尋ねたら「薄口の樽が杉樽じゃなくなったんです(ステンレスの樽?濃口は杉樽のままだった)」。杉樽じゃないと天然醸造とは言えない(樽に棲む酵母の働きで発酵させるわけではなくなる)という理由。ちなみに現在ダントツリピート候補、正金薄口生醤油=蔵造り/杉樽には『天然醸造』と銘打ってある)
<能書き終了>
開封時のカビ臭はどの蔵付き酵母菌醤油と変わらず健在。旨みはかなり強い。塩分も濃口にしては高めだと思う。少量で味が決まる。
しかしやはり濃口だった。「濃口並みに色/味共に濃い」と注意書きのある正金薄口を使っていると、「濃口でもいけんじゃね?」と思ったんだが、濃口独特の熟れて苦味を感じるような味がやはり苦手だと久しぶりに濃口を口にして実感した。同じく蔵付き天然酵母菌のみの丸中(濃口)を使った時はそんな印象は無かった(旨みの薄さを感じたが、苦味を感じる風味は無かった)。
薄口(苦味を感じさせる風味は一切無い。どちらかというと酸味が立つ)で育っているので、この「いかにも濃口!!!」なストロングな風味の煮物/汁物なんかを旅先で頂く分には異国情緒を感じて良いと思うんだが、日常使いには厳しい(特に汁物。熟れて濃い風味が立ち過ぎ)。
ひるがえって言うと、それだけそこらへんのパチモノ醤油とは比較にならない本物の風味(「濃口とは本来こんな味だった」と実感させられるくらい)、濃口嗜好の方にはお勧めだし、同じく天然醸造の丸中濃口と「どちらか買え!」と言われたら、こちらを選ぶ(旨みと風味が段違い。丸中は滋賀なので、多分薄口寄りの風味なんだと思う=関西人の口に合う。濃口独特の風味が嫌なら丸中だが、そしたら薄口使うわよという話)。
リピートはしませんが、自分が濃口好みではないからと☆を下げられるようなお醤油ではないです。