急いで梱包を解きました。『国産有機醤油』と力強い筆字で書かれたラベルに奥播州の荒涼と底に生きてきた人々の繊細な生活シーンを彷彿するようでした。
人工甘味料と添加物で脚色された調味料とは全く異なる天然素材の風味。それは決して媚びたり誤魔化す姑息さとは無縁の飾らない正直さなのでしょう。
さっそく鍋に大根、ジャガイモ、人参と最低限の素材を入れて煮物に使ってみました。
人の記憶にはその時々の香りが伴っているものです。
母に手を取られて行った入学日な土塊の匂い。友の家の前で非礼を詫びながら涙ぐんだ夜の空気の臭気、、。
出来上がった煮物から漂ってきたのは幼い日に母が作ってくれたそれでした。
まさに時空を超えた自然の香りです。
百年を超えた木樽の中で育成された播州の醤油。長長い付き
合いになりそうです。