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2015-04-23
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- ハーシェル・ゴードン・ルイスへの解答
- この映画がかの“スプラッター映画の始祖”に対しての果たしていかなる解答なのか、それを見極めることが最大の焦点だった。
で見ていてなるほどと思ったのは、とにかく映画の持つ雰囲気がH.G.ルイスの作品そっくり。というよりプロット自体が『血の祝祭日』における古代エジプトの女神をサングロイド族の女王に置き換えただけというシロモノではないか。
だがルイス作品がチープな造りながら、良識ある観客なら目を背けたくなるようなバイオレンス&残酷描写に殊更力を注ぐことでホラー映画としての説得力を持っていたのに対し、本作には多少流血シーンこそあるものの(何しろ吸血民族の話なので)バイオレンスシーンがことごとくヘタレで拍子抜け。加えてストーリーそのものが完全に破たんしており辻褄の合わない展開となっている上に、クライマックス(と言うべきか迷うが)など編集ミスをそのまま修正せずに完成したのではと思われる変な場面もあって、とにかく何もかも雑な作り。
まあルイス御大の演出だってお世辞にも一流の映像作家とは言い難いが(なんて失礼な言いぐさでしょう!?)、それに輪をかけて素人感丸出しの内容に思わず「金返せ！」と言いたくなる人がほとんどだと思う。
そんな映画であるにもかかわらず私個人としては腹が立つどころか、そこそこ楽しみながら最後まで見られたというのは、元来「おバカ映画」に愛着を覚える好みの問題もあるのだろうが、ルイス作品を何本か見てこの手のチープさに慣れていたという事かもしれない。
そこで改めてビデオ版の「これはハーシェル・ゴードン・ルイスへの解答だ」というキャッチフレーズについて考えると、「ルイス作品が好きならこれもどうぞ！」という作者の意図が読み取れて、まんまと乗せられたけど何だか納得してしまうのだった。
ちなみに映像はオリジナルフィルムの状態が悪く傷が目立ち、場面によっては完全に変色してしまっている箇所もあるが、おおむね画質自体は悪くない方だと思う(といっても決して良好ではありません)。ちゃんとビスタサイズ収録なのも良い。ホラーファンを自認するなら後悔覚悟でも話のタネに一度は見ておくべき作品ではある。 - このレビューのURL
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