いつもこちらのショップではお世話になっています。今回ご紹介いただいているこの銘柄も余り見かけない貴重な一品で、肥後商店さんの仕入れ(目利き)の良さを感じます。まず「農林二号」という昔ながらの芋が原料であることが目を引きますが、同じ品種を使った他社の焼酎の場合、定価ですでに5割以上~倍近くの高い値段が設定されているケースもあります。そういう意味で製造元「小正醸造」さんの心意気が感じられるのですが、この会社は昨年からヒットしている『小正・黄麹』でも革新的な価格設定をされているので、どうやら「おいしい焼酎を廉価でたくさん作りたい!」という、我々焼酎ファンにとっては有り難い会社方針のようです(最近はコンビニですら見かける『黄麹』ですが、こちらもウマですからまだ呑んでいない方は是非一度お試し頂きたいです)。
実際に鹿児島県日置市の醸造場で杜氏さんにお話を伺ったことがありますが、人柄も会社設備も質実剛健という印象を受けました。醸造場は正門すらわかりづらいくらい地味で(失礼な表現をお許し下さい!)周囲には壁もなく(よっぽど犯罪等には無縁の土地なんでしょうね!感激!)、いらないものにカネはかけず、原料・工程・製品にカネをかける・・・そういう姿勢が実際に伝わってきて嬉しかったことを訪問当時感じたことを覚えております。
さて、この『薩摩維新』ですが、私は小正醸造さんが『威信』をかけて作っていると確信しました。この芋でこんなにウマい焼酎が出来たんだよ、という自信と、これでオイシイといってもらえなかったらどうにでもしてくれ、という威信。そんな気概が感じられる味わいです。地元・鹿児島の方々が愛する「お湯割り」のほうがこの焼酎の良さがわかるような気がします。特に「私は焼酎ビギナー」という方に「2:8(焼酎2:湯8)」くらいの薄めで割って呑んでいただくと、一気に芋焼酎愛好者になっていただけると思います。そういう味の「伸び」が特に顕著な焼酎です。それにしても・・・芋の生産量も限られ、工程も手間がかかるというのに、なんでこんな値段設定で販売できるんでしょうかね?『黄麹』を呑んだときも同様の疑問が沸きましたが、今回も小正醸造さんの姿勢には感服です。もしこの焼酎を購入されましたら、もしかしたら倍近くの値段のする価値があるものなのだ、と感じながら呑んでいただけると、また感慨もひときわだと思います。