紐解き始めて、一気に読了してしまった。物理的に分量が然程でもないということも在るのだが、内容に引き込まれて、頁を繰る手が停められなくなり、気付けば読了という様子になるのだ。日本国内で活動しているウクライナ出身の女性の音楽家へのインタビューを纏めた1冊である。
「伝えたい5つのこと」と題名に在るが、これはインタビュー内容を大きく5つの章に纏めているので、そういうようになったのであろう。各々の内容が興味深いので「5つ」には限定し悪い「伝えたい」が本書には在る。
カテリーナは「バンドゥーラ」というウクライナの伝統楽器を演奏して歌う音楽家で、日本国内各地を訪ねて演奏活動をしている。加えて、日本滞在も長いことから、ウクライナ語の翻訳や通訳も手掛けているということであるようだ。音楽と出逢い、演奏活動を志して、来日して活動してという経過や、近年のウクライナの情勢を巡る想い等が語られ、何か迫るような内容になっている本書である。
少なくとも、「2022年2月のロシアによる侵攻の開始」という時期から、もう直ぐ1年半だ。1年半も異常な状態が続いている。こういう中であるからこそ、ウクライナにも日本にも所縁が在る方の「普通の人の感覚」での御話しは傾聴に値すると思う。御薦めしたい一冊だ。