伊藤花は、ニュース記事で吉川黄美子の名を見つける。若い女性を監禁した犯罪だ。20年前、2人は他の女性と共に飲み屋を経営していたが全焼。これを切っ掛けに闇の仕事に手を染めていた。金、欲をめぐる4人の疑似家族。発覚を恐れる心理。そうした事どもが絡み合って展開する。といってミステリではなく、女性たちの心理描写が読ませどころ。ただ、物語の運びがやや重いのは、文体の所為だろうか。例えば「けれど」という接続助詞が頻繁に出てくるなど……川上氏の癖なのかよく分からないが細かいことを言えば、あまり文章の上手い作家ではない気がする。