原作は、横溝正史の金田一耕助シリーズの中でも「犬神家の一族」、「八ツ墓村」と並んで特に有名で、昔から何度も映画化、テレビドラマ化されている(若き高倉健が背広の金田一を演じる珍品まであった)。
本作は、市川崑監督としては「犬神家の一族」に続く2作目(東宝単独製作作品としては1作目)。「犬神家の一族」の4Kデジタル修復 Ultra HD Blu-ray化に刺激されたのか、ファンのリクエストが多かったのか、東宝もようやくブルーレイ化に踏み切った印象だ。
DVDは1枚も2枚も膜がかかったようなボヤッとした映像だったが、ブルーレイ化なった本作は、少なくともその膜は取り払われ、明るく締まった映像になっている。さすがに、「犬神家の一族」の4K版には敵わないが、ブルーレイソフト化に熱心でない東宝としては頑張った方で、まぁこんなものだろう。
何十年振りかで改めてこの作品を見直してみると、市川崑版金田一シリーズの中ではこの「悪魔の手毬唄」が、市川崑の映像美学が全開で一番面白く、最高傑作と言って良いと思う。