幾つかの出来事が不思議な結び付きを見せる、或いは不思議な結び付きから「事の真相」が解き明かされて行く。弁護士事務所の「家宅侵入の被害」という地味な案件が、思いも掛けない拡がりと深まりとを見せて展開する。
作中、佐伯刑事、小島刑事、津久井刑事は各々の部署に在るのだが、このシリーズの最初の作品、またはそれ以前からの仲間であり、今般も絶妙なチームワークで事件解決に向けて奔走する。モデルになっている場所が在るのか否かは判らないが、彼らは<ブラックバード>というジャズを流していて、ライブも可というバーに集まっている。バーと言っても、珈琲も飲めるようだ。
本作では、過去の経過を知り得る人に会うことや容疑者を追うようなこと等、物語の殆どの部分が札幌都心部で展開している。個人的には土地勘が在る辺りなので、作中で描かれる場所の雰囲気が強く思い浮かび、何か夢中で「入り込む」というような感じにもなる。