或る程度の「長期化」が免れ悪いと見受けられる“侵攻”関連の情勢であるが、惹起して以来、既に半年を経た。他方、この事態は8年も前の状況を引き摺ってもいる。またこの半年の間に様々なことが方々で論じられている訳だが、日本国内では必ずしも取り上げられていないと見受けられる事柄も多い。そして世界の様々な国々が「外交」ということで、或いは事態に巻き込まれていて、日本も例に漏れない。故に考えるべきことが色々と在る筈だ。
そういうような問題意識、加えて「ロシアと名が付けば何でもダメ」というような、些か「危険?」という空気感も在るかもしれないような中、「一区切りの纏め」を世に問いたいということが著者の思いであるようだ。本書を通読して、問題意識等に共感も覚えた。
本書では、ロシアのテレビ放送に見受けられる「識者の対論」というような内容の中で見受けられた、「特定軍事行動」というような呼び方をしている事態を巡る論が多く紹介されている。何れも、変な「煽り」というような内容では断じて無い。米国等も関わっている中での、事態の「落としどころ」の展望や、「近年の米国?」というような観方、ロシアの主張の内容を補うような話題という中身であると思う。
こうした内容の後、2月から8月までの半年に関して、月毎に主な出来事を挙げ、その中から幾つかを論じる章が在る。更に次章では2014年のクリミアの事態を振り返る内容が入る。最終章は日ロ外交を論じている。
読み応えが在る。広く御薦めしたい。