第六巻、第十九話「砲声」からいよいよ鳥羽伏見の戦いに入る。ここからテレビとは思えない迫力の戦闘シーンが延々と続く。今年の映画では殆ど割愛していたが、時間のあるこのテレビ版ではじっくりと描く。しかし、負け戦である。藤堂平助、島田魁、井上源三郎、河合老三郎、山崎烝、今まで活躍していた隊士たちが次から次へと死んでゆく。局長近藤勇の死は、意外にもあっさりと描かれ、「ナレ死」ならぬ何と「字幕死」である。こういう扱いを見て、改めてこのドラマを見直すと、ここではあくまでも土方歳三が主役で、近藤勇は殆ど見せ場のない脇役だったと思わざるを得ない。翻って沖田総司の死は七巻の「沖田総司」で1話分をかけて丁寧に描かれる。確かにクレジットタイトルも沖田(役の島田順司)の方が先だった。土方に次ぐ二番手の役割だったことが分かる。現在だったら、もっと生き残った斉藤一や永倉新八がフィーチャーされるかもしれない。