ネタバレあり。
蓮沼が真犯人なのか判然としないまま物語が進むため、「・・・まさかの冤罪?」って勘繰りながら読み進めてしまったので、ちょっと消化不良の初読感。
大きなバルーンの描写があったので、ヘリウムはこれかぁとかおもいきや、実は液体窒素とちゃんとミスリードの布石も敷いておいて流石は東野さんだなぁと感心。
町全体が共犯関係と思わせつつ、実はその中のほんの一部がかかわっているだけだった。(並木夫妻が病人を運んだ病院の看護師もグルかと思っていたので。)このあたりもちょっと惑わされたり。
そして天性の歌声を持つ、純粋な性格と思われたヒロイン?の沙織が意外に・・・だった(笑)
登場人物には、実は昔因縁があったとか親族だったとかは「祈りの幕が下りる時」と同じ手法かな。
増村と由美子が本当に仲が良い兄妹って救いだったな。
蓮沼は最低最悪の人間だったのに、法では裁けないなんて理不尽すぎる。だから町の人が制裁するために手を組んだ理由も納得できる。
動機としては十分理解できるだけに、事件にかかわった新倉以外は不起訴で終わりそうな結末でよかった。
そしてなにより。
湯川先生。
一番のどんでん返しは、先生らしからぬ「定食屋の常連になる」って行動の理由でした。
ホント、先生は情に篤いですよね。