初読みの作家さん。でも、まだ二作目とは思えない、力のある文章でぐいぐい引き込まれた。
葬儀会社を舞台にした生と死の物語だとあらすじで読んでいたので、かなり暗くて重苦しいストーリーなんだろうなと覚悟していたけど、それはほんの最初だけで、どんどん話が進むにつれて、主人公や登場人物の会話の面白さや人物像に魅了されていった。
民代さんという先輩が特にすてきで、彼女の話す四字熟語などが効果的に使われていて、言葉の持つ意味についても興味をかき立てられた。この作者は日本語がとても好きな人なのだろうな、と思いながら楽しんで読んだ。
主人公と一緒に、生と死の間で多くのことを深く考え、ラストは同時に新しい何かを見つけられた気がした。これまでになかった読書体験で、久しぶりに本を読むことの意味を強く感じました。デビュー作も読みたいし、次の作品にも今から期待しています。