大坂一といわれる唐物問屋淡海屋の孫・一夜(20歳)が突然、実父・柳生但馬守宗矩に召喚され武士となり、柳生家の勘定方の頭として嫌々?活躍する姿を描く、その第3弾。
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大坂商人から柳生家の勘定方となった淡海一夜。当主の宗矩から百石を毟り取り、江戸屋敷で暮らしはじめたのはいいが、ずさんな帳面を渋々改めているなか、伊賀忍の佐夜を女中として送り込まれ、さらには勘定方の差配まで任される始末。そのうえ、温かい飯をろくに食べる間もなく、柳生家出入りの大店と商談しなければならないのだ。一方、老中の堀田加賀守は妬心を剥き出しに、柳生の国元を的にする。他方、一夜の祖父・七右衛門は、孫を取り戻すべく、柳生家を脅かす秘策を練る。三代将軍・家光も底意を露わにし、一夜と柳生家が危機に陥り。。。
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柳生家を食い物にしていた商人や数に疎い勘定方を切っていく一夜の行動力の凄さが際立った一巻でした。また、その能力の高さを聞き知ったか?将軍・家光が一夜を目通りしたいと言い出した。これは次巻以降の展開が楽しみです。
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■本書の基本情報
・筆者:上田秀人(ウエダ ヒデト)
・略歴:1959年、大阪府生まれ。大阪歯科大学卒業。97年、「身代わり吉右衛門」で第二十回小説CLUB新人賞佳作受賞。2010年、『孤闘 立花宗茂』(中央公論新社)で第十六回中山義秀文学賞受賞。「奥右筆秘帳」シリーズ(講談社文庫)は、「この時代小説がすごい!」の09年版、14年版と二度にわたり、文庫シリーズ第一位を獲得。さらに、第三回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞も受賞。
・発行:小学館
・発売:2021年2月
・ページ数:289p
■これまでに購読した上田秀人の著書
・「孤闘 立花宗茂」
・「峠道 鷹の見た風景」(上杉鷹山)
・「将軍家見聞役 元八郎」(全6巻)
・「勘定吟味役異聞」(全8巻)
・「妾屋昼兵衛 女帳面」(全8巻)、妾屋の四季
・「お髷番承り候」(全10巻)
・「奥右筆秘帳」(全12巻)、「奥右筆外伝」
・「御広敷用人 大奥記録」(全12巻)
・「町奉行内与力奮闘記」(全9巻)
・「百万石の留守居役」…第16巻まで
・「聡四郎巡検譚」(全6巻)
・「勘定侍 柳生真剣勝負」…第2巻まで(本書)
・「惣目付臨検仕る」…第1巻まで
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◆AFP情報 … ジャンル:本・雑誌・コミック、料率:3%