著者のニックさんはオーストラリアご出身の方ですが、長年日本語を研究されており日本語が大変堪能な方でいらっしゃいます。それ故に、英語と日本語の言語学的な違いを研究者という目線で理解されている数少ない方だと思います。また日本での英語教師歴も長く、日本人特有の癖や躓くポイントを熟知されており、何故多くの日本人が同じ箇所で躓くのか?その原因もしっかり説明してくれております。いわゆる日本の学校教育における英語教育の問題点を指摘されているのですが、巷で良く議論されているような【文法重視vs会話重視】【受験英語vsリアルな英語】等という方法論的なことでは無く、【教師が英語をきちんと理解できていない】【間違った意味を教えている】というような根本的にマズい部分をしっかり指摘してくださっています。また言語学的な英語と日本語の違いも説明してくださっており、単なる直訳では絶対に無理が生じる理由を大変解りやすく説明してくださります。単に表面的な記憶学習ではなく、各言語で特有の骨格を持っているという事を認識する事から教えてくださってます。
表紙の【A4】というキャッチーなワードが目を惹きますが、単なる目新しくて簡単な勉強法がウリというだけの本ではありません。英語教育を根本から覆す様な内容だと感じました。子供がいる日本人としては、日本の学校教育において従来型の英語教育は直ちに廃止し、この学習理論を取り入れてくれれば良いのにと強く感じます。英語を勉強したい日本人は出来るだけ早く読んでみて欲しい本です。(読み物として一度目を通すだけでも良いので。)