環境破壊はソ連でも酷かった。本書が求める出口Xは、果たして本当にあるのか。
コミュニズムがソ連、東欧で現実に失敗した、非人間的官僚制の問題に全く触れていないのは、論としてどうなんだろうと思う。アカデミズム的には、これで成り立っているのか? 環境問題は資本主義のままでは解決できないと言うのは確かだろうが、ではコミュニズムなら本当に解決できるのか。そのコミュニズムとはつまり、強権的官僚制管理社会のことではないのか。
問題の解法は、資本主義とコミュニズムの二項対立にではなく、人間の理性を過信した近代以降の人文主義、科学技術万能主義のあり方まで遡った辺りにあるのかもしれない。環境問題は、そこから始まったのだから。