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5
2020-07-21
- 商品の使いみち:趣味
- 商品を使う人:自分用
- 購入した回数:はじめて
- 慧眼
- 作者がまずこのテーマに取り組んだことに敬意を表すべきか。この盛夏に冬がテーマの作品を発表し、テーマとしては地味にならざるを得ない遭難もの。流行した、かの有名な映画八甲田山も当初はあまりにも悲惨なテーマが映画には向かないと懐疑的だったようだ。新田氏が事実(っぽい内容)を克明に、かつ淡々と書いて、心が締め付けられる思いで読んで、早くこの物語が終わらないか願ったものだった。伊東氏の物語は違った。新田氏の二番煎じなんかではなく全く別の作品だ。事実の克明な描写だけではなく、現代と過去の物語が交差し、謎解きもうまく取り入れた歴史ミステリーで、ただ奇想天外なifものではなく、事実に根差した、かつ著者が調査し推理結果も導きだした力作である。天は我々を見放したが有名なセリフだが、チームとは？リーダーとは？も考えさせるような小説にもなっていて、最後まで飽きさせない。ちなみに美人編集長とのアバンチュールも物語の主題ではないが、謎に満ちていて、美人局か？と私は勘繰った(笑)。この盛夏に、死の彷徨、八甲田山、囚われの山に耽って、生きるとは？を考えてみるのも一考。
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4
2021-05-01
- 歴史雑誌の記者・菅原は「八甲田雪中行軍遭難事件」を採り上げ特集を組むという編集部の方針のもと、夏の八甲田に入り、資料を集める。「死者２００人」という記述と「死者１９９人」という記述があり、「１人の差」の謎を解明すべく調査を進めていく。軍部の陰謀・隠蔽、雪中行軍の兵士たちの決死の覚悟と、現代でも繰り返される証拠隠滅とを並行して描き、自然の厳しさと人間の愚かさを対比させた、読み応えのある歴史ミステリー。１２０年前の秘密に「囚われ」た地元の男性と、現代生活に囚われた菅原との対比も印象的。女性にも囚われるラストの衝撃が強い。
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