月郷神社に聳え立つ大きなクスノキ。ここに願掛けをしておくことを祈念といい、血縁者がその念を受け取ることを受念という。老婆に管理を任された玲斗と、周りの人々が織りなすファンタジックな物語だが、肝心の玲斗のキャラクターがしっかり描けていない。調子よく運びすぎるのだ。また、台詞も「形容詞+です」が多用されていて、プロの物書きとしては如何なものか。本来、文章がうまい作家ではない点を差し引いても、不出来な小説としか言いようがない。一応、布石が打たれていて終盤に向かうのだが、それにしても、じゃあ、何が言いたいのかとなると? 読まなきゃ良かった。買わなきゃ良かった。