とても良い本です。第3の犬の話だけでなく、その前の犬たちと過ごした時々の話も素晴らしく、引き込まれました。ただ、とても良い本だとの上で、いくつかもやもやしたものが残ります。この本を購入前にアマゾンなどで書評を見たせいもあるのかもしれませんが。著者は元新聞記者だったとの事ですが、この本を読んでいると、北村氏からの聞き取りが主なものとなっており、資料の調査や他の隊員の生存者の方への取材やアポ取りなど、北村氏へのサポートが感じられません。以前、いろいろな事件の記者の著作を読んだことがありますが、どの記者の方も事件の究明に、いかに資料にあたるか、いかに靴を減らして関係者の言葉を得るかで苦労しておられたと思います。元とはいえ、記者の方なら、生存しておられる関係者への何らかのアプローチや資料の発掘で、北村氏へのサポートがもう少しできなかったのかと感じます。北村氏単独の著作なら絶賛ですが、その意味で満点は避けました。生存者の方も残念ながら少なりつつあるので、その方々のお話もとても貴重です。そのあたりを取り込んだ改訂版を期待します。