賛否両論はあるだろうけれど、前作「黄昏の岸~」で十二国記ファンから一歩距離を置いたであろう方にはとても嬉しい内容ではないだろうかと思う。前作では諸国の王がどんどん出てきてキャラで盛り上がるには楽しいだろうが無名の一個人がどう足掻いて生き延びるか、どうやって己という領土を治める王となれるのだろうか悩むということがかき消されてしまった。
群像劇が小野主上の望みかと、落胆した方もいたかもしれない。カタルシスがないと落胆した方もいたかもしれない。だが、本作はどうやって己という領土を納め、時代の中で生きていくか現代日本で示したひとつの回答ではないだろうかと私は思う。
おかえり、泰麒。そして、李斎。貴女のように私も一般民として今日という日を戦い、そして明日につなげていきます。
小野主上に感謝を捧げたい。