ついに本作で復活を果たしたルルーシュ。
でも正確には、復活したのはTVシリーズではなく、
TVシリーズの総集編である劇場版3部作のルルーシュです。
詳しく比較したわけではありませんが、
一番の違いはシャーリーが死ななかったことでしょう。
物語を圧縮するために『R2』の前半を大幅にカットした結果なのかも
しれません。
こうしたTVシリーズと劇場版の入り組みは『宇宙戦艦ヤマト』をほうふつと
させます。
ただ、登場人物がいつ死んでもおかしくないイベントがてんこ盛りなので、
どこかでシャーリーを殺してつじつまを合わせることはできたでしょう。
そうしなかったのは『復活』で重要な役回りがあるからかと思ったのですが、
実際はほとんど出番はありませんでした。
その『復活』ですが、ルルーシュの復活は後半だろうと予想していたので、
最初から出ずっぱりだったのには驚きました。
拉致されたナナリーとスザクを救出するというのがメインストーリーですが、
それとは別に、ルルーシュの最期によってトラウマを負った人たちの回復が
描かれます。
「ゼロレクイエム」におけるルルーシュの言動に怒り、ののしり、裏切った
者たちは、彼の死によって謝罪する機会を失い深く傷つきました。
あるいはすべてを知ったうえで重い十字架を背負わされました。
だから復活したルルーシュを前に、ある者は強く抱きしめ、
ある者は力いっぱい殴りつけ、ある者は自決しようとします。
彼らに対するルルーシュの寛容で真摯な態度は、
彼らのこころを癒してくれます。
中でも感動的だったのは、最も近くにいながらその真意に気づけなかった
鬱屈した想いをぶつけるナナリーを、ルルーシュがやさしく受け止める
シーンです。
常に兄に庇護されてきた妹が、一人の自立した人間に成長した瞬間でした。
なので、ラストのC.C.に対する命名は、妹離れしたルルーシュのプロポーズ
のようにもみえました。