新刊を買うたびに「この巻が一番面白いな…」と思わされる、面白さの果てが見えない貴重な漫画。
この漫画はとにかく一話一話の密度が濃い。徳川家の話であるから当主がころころ変わるし、それに伴って新しい登場人物も続々登壇しては消えていく。第一印象が悪かったキャラへの愛着も沸いてきて、自然に彼らの幸せを願える境地になったところで舞台から去ってしまう…を頻繁に繰り返すのだが、マンネリだな~とかいう感想にはならない。ただ無念であったろうなと悲しく思い、そのあいだにも時代は刻々と進んでいる。
それでも一読者としては、やっと心を通わせて互いを唯一無二の存在になった家茂と和宮に報われて欲しいと思ってしまう。長州征伐に向かう家茂に対して和宮が叫んだ言葉が真に迫っていて、切ない。