渡辺和子さんの「置かれた場所で咲きなさい」の如く、人生達観系にもどことなく内容の書。 ある程度、艱難辛苦を経て、老境入りした様な人間であれば、共感できる部位も多い気がしますが、10代ー30代クラスの人間にリコメンドできるかというとなかなか難しい側面も。
確かに自分を知り、様々な事象を俯瞰して生きていけるというのは一見すれば素晴らしいことの様に思えますが、物事には常に2面性があり、換言すればそれは悪い意味での欲を断ってしまう可能性があるからです。
欲というものは悪い面もささやかれる一方、良い側面もあり、例えば学生であれば少しでもいい大学に入りたいであるとか、クラブのレギュラーを何としてでも勝ち取りたいであるとか、社会人であればより高収入を得るために昇進したい、転職に生かせる資格を取りたい等、モチベーションとの関連も大いにあるからです。
ですから、若い方の中でも、こういった類の書に共感される方も数多おられるのでしょうが、場合によってはあまりに影響を受けすぎると自分の可能性をスポイルしてしまうことになりかねない危惧がどうしても付きまとってしまう気がします。
また、あくまでこれは樹木希林さんだからこそできた生き方。 例えば投資系の書籍がそうであるように、同じように真似て、納得いくパフォーマンスをたたき出せる方がどれ程いるでしょうか??? ビジネス書や自己啓発書なんかもそうですねwww とどのつまりは、生きてきた時代、おかれている環境、個々の個性によってバイアスは幾らでもかかってしまうので、その辺りは留意が必要な気がします。
ただ、生きていくうえで確かに参考になったり、金科玉条とも取れる名言も有りますから、全く読んでも無駄ということは無いということだけは付け加えさせていただきます。
特に、子供が自立したり、お孫さんが出来たあたりの世代には結構読んで欲しい1冊ですかね。
遅くなりましたが、樹木希林さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。