様々な葛藤の中、活動休止中に撮影されたという事にこの写真集の価値はある。
乃木坂46の北野日奈子は、周囲に気を使い、表面的には内にある感情を押し殺し、無邪気で明るくおバカに自然と振る舞う一面を持っている。
しかし、その反面、内側では自分で様々な事を考え答えを導き出し、時には頑固ではあるが、賢い一面も持っている。
その二面性を備えた北野の性格は人には伝わりづらく、周囲に誤解を与え、その誤解によって回りから注意や指摘を受ける事も多くなり、時には軽視され、本人を苦しめてきた。
その結果、自暴自棄に陥る事も多くなっていった。
ここまでは、私の描く北野像であるが、北野日奈子という人間は、自然体で振る舞っているにも関わらず、このような想像力をかきたてられる魅力を持ち合わせた女性だ。
まさに北野の魅力はその二面性によって生まれた振り幅にあり、この写真集でも北野の魅力は存分に垣間見る事ができる。
北野のその性格は、どんな空気にも馴染むことができ、北野その物が、『空気の色』なのかも知れない。
少数意見かも知れないが、個人的なベストショットは、遠くを見つめ『何を考えているのかな?』と思わせる画像のショットが、堪らなくいとおしく思った。
見る人によって捉え方が違うとすれば、この写真集と北野日奈子の本質はそこにあるのかも知れない。
この北野の持つ二面性こそがギャップとなり、本人の魅力を引き立てている。
北野の理想の男性は、ギャップのある人だと、以前、何処の雑誌で見たことがあるような気がするが、この写真集は、北野自身が自分の理想である大人に近づいて来ている証となる写真集でもあるのかもしれない。