美人で歌人の妻:おりょう、養子:駿太郎(12歳、赤目小籐次を襲った刺客から託された子で当時は赤ん坊)、紙問屋久慈屋や新兵衛長屋の面々ら、小籐次を取り巻く面々と織りなす人間ドラマと事件の数々、新シリーズの第12弾。
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小籐次父子は将軍・徳川家斉に拝謁し、見事な武芸を披露して喝采を浴びた。数日後、小籐次は駿太郎の乳母を務めたおさとと再会する。彼女の舅は名人と呼ばれる花火師だったが怪我を負って引退し、さらに余命数か月という。半端な花火職人の義弟が作った花火を舅に見せてやりたいというおさとの願いを知った小籐次は、一計を案じる。不景気で隅田川の川開きの花火の開催が危ぶまれるいま、小籐次は隅田川に見事大輪の花火を打ち上げることができるのか!?
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将軍と同席する諸大名への武芸披露、義兄弟・市川団十郎の頼みによる南町奉行所の悪徳与力退治、花火師親子を助ける人情話と、小籐次の活躍満載の一巻で、一気読みでした。
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■本書の基本情報
・筆者:佐伯泰英(サエキ ヤスヒデ)
・略歴:1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』以後、スペインをテーマにした作品を発表。'99年、初の時代小説『密命』を皮切りに次々と作品を刊行、時代小説の旗手として高い評価を得る。
・出版:文藝春秋
・発売:2018年8月
・ページ数:330p
■これまでに購読した佐伯泰英の著書
・「異風者」
・「密命」(全26巻)
・「夏目影二郎始末旅」…第14巻で読み止め
・「古着屋総兵衛影始末」(全11巻)
・「吉原裏同心」…第16巻で読み止め
・「居眠り磐音江戸草双紙」(全51巻)、「居眠り磐音江戸草双紙 読本」
・「空也十番勝負 青春篇」…第3巻まで
・「酔いどれ小藤次留書」(全20巻)
・「新・酔いどれ小藤次」…第11巻まで(本書)