筆者はよく勉強はしているようだが、臨床経験の乏しさが伺える(実際に経歴をみると指定医を取得していない様子)。恐らくは重症の統合失調症やうつ病、躁うつ病、妄想性障害の経験があまりないのであろう。その辺の項目において、実臨床との解離と、本人の考えを補足するためというバイアスを受けた偏りのある引用が多々みられる。
その他の項目でも、様々な意見がある中で、筆者の考え方のみあるような勘違いをさせてしまうような構成の印象を受ける。
とはいえ、引用している文章自体に嘘はないと思われるので、初学者には参考になると思われる。ただし、この本に書かれているのはあくまでこの筆者の見方のみであり、一般的なものと限らず、他に見方もあるということを知って読む必要がある。