さる事件探索の余波で、「居眠り番」と蔑まれる閑職・両御組姓名掛に左遷された凄腕の北町奉行所元筆頭同心の蔵馬源之助。暇を持て余す源之助に数々の依頼「影御用」が舞い込み、解決していく。2010年からスタートした本シリーズの第25弾。
懲りない将軍家斉の実父・一橋大納言治済の企み。今度は先代将軍家治の世に権勢を誇った老中田沼意次の四男・田沼玄蕃頭意正を使って、幕府が禁じているオロシャと密貿易を行い、莫大な利益を得ようと企む。合わせて松平定信に煮え湯を飲ませ、屈辱にまみれさせ死に追いやろうとする。一方、定信は蔵間源之助に蝦夷を巡る抜け荷の探索せよと影御用を命ずる。源之助は抜け荷に一橋治済と田沼意正が絡んでいることを突き止めるが。。。
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一介の町方・源之助が、大物の元老中首座・松平定信、老中を志す寺社奉行・水野忠邦の依頼を受け、一橋大納言治済と田沼意正の企みをぶっ潰す痛快さが面白い。
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■両御組姓名掛(りょうおんくみせいめいがかり)とは
奉行所に勤務する同心とその家族の名簿を作成する部署。
家族が死亡、赤子誕生、夫婦になった時にそれらの事項を補完することすることくらいしか仕事がない。
■本書の基本情報
・筆者:早見 俊(ハヤミ シュン)
・略歴:1961年、岐阜県岐阜市に生まれる。法政大学経営学部卒業。会社員を経て作家活動に入る。2017年、「居眠り同心 影御用シリーズ」(二見時代小説文庫)と「佃島用心棒日誌シリーズ」(角川文庫)により、第6回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞
・発行:二見書房
・発売:2017年11月
・ページ数:282p
■これまでに購読した早見俊の著書
・「居眠り同心影御用」…第24巻まで(本書)