半沢直樹シリーズをTVで見て非常に面白かったので、その原作者の著書を、中でもTVドラマ化されいないものを思い、本書を購入しました。
あらすじは、出向先から東京中央銀行本店に復帰した半沢直樹に頭取から『破綻寸前の航空会社、帝国航空の再建を担当せよ』という命令。折しも政権が交替、新政権の国土交通大臣は野心に満ちた女性閣僚で、帝国航空再生タスクフォースを起ち上げ、JALに債権もつ半沢ら銀行団に巨額の債権放棄を強引に要求してきた。『債権放棄せずとも自主再建できるハズなのに、500億円もの借金の棒引きなんてとんでもない』と考える半沢。だが相手が大臣では、さすがの半沢も容易に突破口を見出せない。しかもなぜか銀行上層部も半沢の敵に回る。この一件のウラには何が?半沢どう立ち向かう。
今回は最大の敵が政治家にスケールアップ。スピーディな展開、プライドとプライドの激しいぶつかり合い、憎たらしいキャラの敵を理路整然と論破していく半沢の言葉一つ一つが『その通り』と共感。最後に野球でいえば、逆転サヨナラ満塁ホームランを放つ痛快さは、とても面白かったですね。
また今回はチョイ出の金融庁検査官・黒崎の嫌味でねちっこいオネエぶりもいいアクセントになっています。
ただ、本に(文字に)に期待していた半沢らのTVでは表現できない心の動きというか心理描写が少なく、物語の深みの面では物足りなかったですね。
なお、本書は実際に起こったJAL破綻処理に際し、2009年政府主導のJAL再生経過をほぼ忠実に再現した筋立てです。ネット上の[ウィキペディア>JAL再生タスクフォース]に詳しく経過が書かれており、本書を読んだ後にみると、「本書に登場する銀行は、大臣は、実際はどこ、誰。。。」とか、楽しめると思います。
-----
■本書の基本情報
・筆者:池井戸 潤[イケイド ジュン]
・略歴:1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。'98年、『果つる底なき』で江戸川乱歩賞、2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、'11年『下町ロケット』で直木賞を受賞。
・発行:文藝春秋
・発売:2017年9月
・ページ数:434p
■これまでに購読した池井戸潤の著書
なし