インターネット通販の歴史小説部門で人気三位となっていたため購入した。
普段は三国志、鎌倉、戦国時代など中心に読んでいる。
内容は豊臣家の最後の姫がいかにして乱世を生き、江戸時代に鎌倉で過ごしていたか。そして豊臣の最後の姫として徳川方とはいかにかかわりがあったかなども記載されている。
作者の敦賀信弥氏は美術コレクターとして著名で、その美術に関する知識などを存分にいかし、狩野派などの絵師を物語に盛り込むなど美術フリークには心憎いばかりの内容。文面もテンポよくとても品が良い文章である。
そして忘れてならんのは、息をのむ美麗表紙画。時代小説でもこれだけ存在感のある表紙はなかなか見かけない。表紙画作者の画家杉本さやか氏の天秀尼像は平成に現れた菩薩のごとく光を放っている。これは本を手元に持った時に感じるのである。
あとがきを拝見して思ったが、敦賀氏が杉本さやか氏に天秀尼像画を依頼した経緯なども読んでいて面白い。現代美術と歴史小説のあけぼのであることは明らかである本と感じた。私は読む本と、飾っておきたいので二冊購入。
この平成の菩薩像を描く事が出来る画家杉本さやかと、コレクターとして作家の敦賀信弥両氏の異色の才能を持つ二人の再タッグ作品を熱望する。