筆者の熱を感じる好著。
ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』を想起した。
この10本を買えばいい。
などという、あんちょこ本を提供したとは考えていない。
多くの投資信託本が『インデックス投資』や『手数料は安ければ安いほどいい』
と主張するが、筆者はこれを否定する。
なぜか。
それは、日本の根源的な不幸は、
日本というホームカントリーの株式市場が数十年間に渡ってリターンを出せていないことにあり、その問題に目を背けて本質的な問題の解決はありえないからだ。
インデックス投資というのは、誰かがつけた価格に投資する。というスタイルだ。
では、その価格は誰がつけたのか?
インデックス投資というのは"誰か"に期待した投資であって、それは『ただ乗り投資』のようなものだ。先に指摘した通り、日本の個人投資家をインデックス投資に誘導する本が山ほど出ているが、日本の個人投資家を『ただ乗り投資家』に仕立てたいのだろうか?
リターンの出ていない市場で、ただ乗り投資家を増やしてどうするのだろう?
金融庁は米国のブレイクスルーを日本にも・・・と目論んでいるようだ。
米国ではマゼランファンドといった巨大なアクティブファンドが個人投資家を救ったし、市場ではアクティブマネージャが値段(株価)を付けたことによって株価が右肩上がりに上昇した。つまり、米国の株式市場を救ったのはアクティブマネージャ達だと言ってよい。
グローバルな分散投資が推奨されているが、ホームカントリー・バイアスによって、どうしても自国への投資は大きくなる。
つまり、日本の個人投資家にとって日本の株式市場の健全化は必須だ。
筆者は、日本の個人投資家を救う道はインデックス投資をさせることではなく、
優秀なアクティブファンドを育てることにある。と考えていると思う。
素人にアクティブファンドを探せといってもすぐにはできないだろうから、
最初の1歩として、この10本の中から選びなさいと。と手を差しのべている。
株式市場は右肩上がりで推移する。これが、株式という本来のシステムなのだ。
日本人の多くがこのシステムに疑問を持ってしまっている。ということが不幸。
もはやバクチと投資の区別もつかなくなっている。
日本の「生活者」が「個人投資家」となることで、日本の資本市場は生き返ることができるだろう。
筆者が『民衆を導く自由の女神』とダブって見えたのはこういう理由だ。