深く長く読みたい方なので、1巻完結ものはあまり読まないですが、上田さんの作品は平易な言葉で読みやすい筆致、またあの有名な上杉鷹山の生涯を描いたものということで、購入しました。
内容は、財政再建、農地開拓に生涯にわたり心血を注いだ米沢藩の名君・上杉鷹山。招かれざるものとして上杉家の養子となった幼少期、聡明な頭脳と正義感をたぎらせ藩主についた青年期、そして晩年までの困難極まる藩政の道のりを丹念な文章で紡ぐ。寵臣の裏切り、相次ぐ災厄、領民の激しい反発ーー、それでも初志を貫けた背景には愛する者の存在があった。名君はいかにして名君たりえたか。知られざるその素顔と生涯に迫る感動の本格歴史小説。
読んでみた感想は、わずか10歳で米沢藩上杉家(現在の山形県)の養嗣子として入り、16歳で家督を継ぎ、艱難辛苦を経て、借金まみれで潰れかけた米沢藩再興の基を作り、35歳で家督を譲り、藩主を後見し続け、享年72歳で亡くなった鷹山。その果断にして積極的な行動、寵臣・正室・側室・子らへの愛が如実に描かれていて、面白かったです。
上杉鷹山が残した人生訓が、その原動力なのでしょね。
『為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり』
(意味:やればできる。やらなければできない。何事も、できないのは人がやらないからだ)
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■本書の基本情報
・筆者:上田 秀人(ウエダヒデト)
・略歴:1959年大阪府生まれ、大阪歯科大学卒。’97年、桃園書房主催第20回小説CLUB新人賞佳作。2010年『孤闘 立花宗茂』(中央公論新社)で第16回中山義秀文学賞受賞。
・発行:徳間書店
・発売:2017年2月
・ページ数:336p
■これまでに購読した上田秀人の著書
・「孤闘 立花宗茂」
・「将軍家見聞役 元八郎」(全6巻)
・「勘定吟味役異聞」(全8巻)
・「妾屋昼兵衛 女帳面」(全8巻)
・「お髷番承り候」(全10巻)
・「奥右筆秘帳」(全12巻)、「奥右筆外伝」
・「御広敷用人 大奥記録」…第11巻まで
・「百万石の留守居役」…第8巻まで
・「町奉行内与力奮闘記」…第3巻まで