文化六年(1809年)、将軍家斉の世。摂津尼崎藩江戸家老を長く勤めた塩谷隼人が隠居し、忠臣の金子作左右衞門とともに長屋の大家として穏やかな町場暮らし。そこは人望のある隼人のこと、店子や尼崎藩のかつての配下たちなどからさまざままな相談が持ち込まれ、これを解決していくシリーズ第4弾。
今回は摂津尼崎藩の農民と称する一団が大目付・藤田多門一行に駕籠訴に及ばんとしたが、大身旗本の子息松平信十郎によって寸前で食い止められた。隼人に大恩ある信十郎は、これが嘘偽りに満ちたものと睨んだ。裏には尼崎藩を統べる桜井松平家を貶めようとする策謀が。。。
藩の一大事に、黒幕をあぶり出し追い詰めようとする隼人の知謀、これを助ける町家の道場主・日比野佐内とその妻で尼崎藩の先代藩主・松平忠告の愛娘・茜らの活躍が見物。
また隼人と、かいがいしく隼人の世話をする作左衛門との還暦コンビのユーモラスさは相変わらずで、ほのぼのしますね。
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■本書の基本情報
・筆者:牧 秀彦(マキ ヒデヒコ)
・略歴:1969年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東芝経理部に6年間勤務後、剣と創作の道を突き詰める時代作家業に挑み現在に至る。
・出版:徳間書店
・発売:2017年1月
・ページ数:296p
■これまでに購読した牧秀彦の著書
・「算盤侍影御用」(全10巻)
・「甘味屋十兵衛子守り剣」(全5巻)
・「上様出陣!」…第3巻まで
・「八丁堀 裏十手」…第7巻まで
・「塩谷隼人 江戸常勤記」(全4巻)
・「塩谷隼人 江戸活人剣」(全2巻)
・「中條流不動剣」…第3巻まで(本書)