新組織の室長として活躍する黒田
警視庁情報室。それは警視庁が秘密裏に組織した情報部門のプロ集団。主人公の情報官・黒田純一の抜群の情報収集力と分析力で、政・官・財界そして世界的な犯罪組織に闘いを挑む、そのシリーズ第6弾。
3年の海外研修を経て日本に帰国した黒田。警視総監の肝いりで「今後の国家の命運を賭けた組織」として改組された警視庁総合分析室室長となった警視正の黒田。その組織はキャリア警視正12名を含む100名以上の精鋭揃い。
手始めに手掛けたのは、廃棄に回したはずの古紙幣千五百億円が溶解処分されずに忽然と消えたという事件、複数のコンビニATMから巨額の金が不正に引き出される事件。
黒田の卓越した情報収集能力と分析力、そして裏の組織との太いパイプとの繋がりを駆使して事件を解決していく。
約3年ぶりに発刊された本書を読みましたが、警察畑を歩んだ著者・濱さんの国内外の情勢や警察組織や裏社会についての見識の高さ、シャープでスピーディなストーリー展開は相変わらず面白いですね。
ただ、黒田を含む登場人物の人となりの描写が薄く、重厚感に少し欠けるところはありますね。
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■本書の基本情報
・筆者:濱嘉之(ハマ ヨシユキ)
・略歴:1957年、福岡県生まれ。中央大学法学部法律学科卒業後、警視庁入庁。警備部警備第一課、公安部公安総務課、警察庁警備局警備企画課、内閣官房内閣情報調査室、再び公安部公安総務課を経て、生活安全部少年事件課に勤務。警視総監賞、警察庁警備局長賞など受賞多数。2004年、警視庁警視で辞職。衆議院議員政策担当秘書を経て、2007年『警視庁情報官』で作家デビュー。現在は、危機管理コンサルティングに従事するかたわら、TVや紙誌などでコメンテーターとしても活躍している。
・出版:講談社
・発売:2016年11月
・ページ数:320p
■これまでに購読した堂場瞬一の著書
・「警視庁情報官」…第5巻まで(本書)