この本によると、イタリア人精神科医のフランコ・バザーリアは、1960年代に開始した精神医療改革で、イタリアにある精神病院をすべて閉鎖しました。
「訳者あとがき」には、日本は先進国のなかで圧倒的に精神病院が多いと書いてありますが、そうした国に住む私たちには、「精神病院のない社会」を想像することは、簡単ではありません。
(正確にはバザーリアは、閉鎖病棟のある精神病院をなくしたのです。)
でも、イタリアにしたって、バザーリアが改革を始める以前は、日本のように精神病院がたくさんあったのです。
それでは、バザーリアはなぜ精神病院を無くそうと考えるようになったのでしょう。 精神病院を減らすのではなく、なぜ全ての精神病院を無くさなければならなかったのでしょうか。
そして、精神病院を無くそうと考えてから、どのようなプロセスを経て、バザーリアは改革を成し遂げたのでしょう。
本文によると、バザーリアは、まず病院の窓の鉄格子を取り去り、拘束衣の使用を禁止し、白衣を廃止しました。
次に医師や看護師、そして患者たちが同じ場で対話をする、アッセンブレアという自治集会も始めました。
そして、地域のなかで、患者たちが生活をするための設備を準備しながら、180合法をという法律を通過させて、精神病院を廃止したのです。
精神病院だらけの日本は、本当にこのままでいいのでしょうか。
日本はどのような社会にならなければならないのか。
すぐに何かを変えられなくても、イタリアの例を参照して、日本のどこを変えてゆかなければならないのか、考えてみなければならないと思いました。
日本社会の将来の姿をもう一度じっくり考えてみるために、
この本はオススメです!