紙の月に続き角田光代の作品は2作目です。
結婚はしていますが、「良い母」になる自信が持てず、子供を望む夫と姑に色々と言われながらも避妊を続けている私には、共感できる部分が多すぎて読むのが辛かったです。でもつい読み進めてしまう、止められない自分がいました。
相手に悪気がないのはわかっている。そんな酷い言葉でもないのに、なぜかモヤモヤが残る夫や姑からの言葉。この私のモヤモヤを上手に活字で表現している作品でした。
読むことで何かが解決したり、強い決意に結びつくような作品ではありませんが、確実に何かを感じることができる作品ではあると思います。
うまく表現ができず申し訳ないのですが、複雑な女性の心理を角田さんは本当に上手に書き上げると思います。
男性作家にありがちな「複雑な女性心理」を描写しようとしすぎてゴチャゴチャ書くのとは違い、やはり同じ女性だからこそシンプルな文体の中でその心理を書きあげる。そんな角田さんの作品にすっかり魅せられています。