ルメートルのデヴュー作です。
邦訳の刊行年が次作「その女アレックス」と逆になっているので要注意。
アレックスを先読してしまうと、本書の興味が半減します。
一章が短く区切られ、時系列に沿ってテンポよく進行するので、非常に読み易い。
ただし、殺害現場は凄惨で、残虐な描写があるので、苦手な方はご注意下さい。
傑作ミステリーですが、犯人捜しに結び付くようなヒントの描写は殆ど無く、フーダニットの要素は有りません。
作品全体がひとつのトリックになっており、その奇抜さに驚き楽しむ作品だと思います。
やり切れない思いが残る結末が、少し残念です。