本が売れないと言われて久しい中、10万部も売れているのが判る良書だった。主に山里に住む人や狩猟、林業を生業にしている人の不思議な体験を集めた本だが、見聞きした事実だけを淡々と語っているのがむしろ不思議で恐ろしい。
「怪奇体験談」というと大げさな修飾や怖がらせるための因縁話が盛られているな、と感じる事が多いが、この本は「何を見たのか結局わからない」、「なぜあんなものが現れたのかわからない」話が多いのがリアルだ。
地元の歴史や地形なども具体的で、著者が根気強く日本中の山里を回って体験談を蒐集した事がよく分かる。
ふと異次元空間に紛れ込んだような感覚を味わい方にはおススメの一冊だ。