1970年代生まれの私にとって秀樹さんは、居るのが当たり前の「スター」の代表でした。しかしファンでもなんでもありませんでした。あまりにメジャーな存在に、むしろ反感を持っていました。訃報にこんなにも衝撃を受けるとは思いもしませんでした。まるで兄姉や、子供のころ可愛がってくれた近所のお兄さん、憧れていた親戚のお兄さん、お世話になった人、昔好きだった人、すべてが、お礼の気持ちを伝えないままに逝ってしまったようでした。それと共に、自分の少女時代がすっかり終わってしまったのだと、今更ながら突きつけられたようでした。
秀樹さんが、その歌で、姿で、ある時代をまばゆい輝きで満たし、時代を象徴する存在であったのだと気づかされます。
遅まきながらCD、DVDを買いあさっていますが、このアルバムだけは、辛くなりそうで、避けていました。ですが、ラジオで耳にした「蜃気楼」に胸を打たれ、覚悟して購入。
しかし‥私がもらったのは、悲しみよりも元気でした。
「蜃気楼」は、人生の応援歌として、多くの人にこれからも勇気を与えてくれるでしょう。
若い頃の秀樹さんの輝きは、ふたつとないまばゆいものでしたが、還暦の秀樹さんは、そこからずっと進化をとめずに走り続けたんだな、とわかりました。すべての歌が、新しい魅力に溢れています。
今聴くとちょっと気恥ずかしかった初期のラブソングも、還暦の秀樹さんにかかると、新しい「今の」ラブソングに進化しています。
ポピュラーすぎて、元気で健康的すぎて苦手だった「YOUNG MAN」も、一発で好きになってしまいました。
最期まで闘い続けたかっこいい兄貴、進化をやめなかった秀樹さん、ありがとう!ずっと忘れません。