上映された平成ライダー勝利バージョン、上映されなかった昭和ライダー勝利バージョンの双方がはいっている。まあ、最終局面での仮面ライダー1号対凱夢の勝者を変えているだけの話であり、どちらかが「俺の負け」と戦いをやめるというもの。期待して見ると、「なんだかなあ」という思いに沈んでしまう。もともと「ライダー大戦」シリーズの出来はよくないから、こんなものと思うしかない。全体的には、ユルユルの構成であり、ことさらに言及するほどのこともない。
ただ、昔からのファンをところどころで喜ばせてくれることはたしかだ。実物の本郷猛が変身ポーズを決めてくれたところは、感無量。昔よりずっと重厚でケレンたっぷりだが、仮面ライダーといえば、本郷でしょとつい思ってしまった。まあ、歳のせいだろうが。
あと、ファイズ・ファンにもいい。主役の乾巧は、相変わらずのウジウジ野郎だが、昔ほどのカッコよさはなかった。だんだん、オジサンになっていくんだろうねえ。自分より若いライダーに説教されているシーンを見ると、「あちゃ」と感じながらも、乾らしいと思う。乾は、結局、女の子に励まされないと闘えない人なんかなあ。
ついでに、草加雅人が登場しているところにグッときた。仮面ライダー「カイザ」には変身しないが、性格の悪さはそのまま。テレビの本編で殺されるシーンを微妙に変えて再現してあり、乾に対して「なんで、カラッポのお前が生きて」と難詰する。その後、蘇りつつある死者として登場、ふたたび乾を難詰、「いいねえ、草加、もっとしゃべろ」と思わず個人的に盛り上がった。「カラッポ」といえば、平成ライダー第1弾「クウガ」のテーマ曲の始まりは、「カラッポな星」だった。平成ライダーは「カラッポ」で、乾こそはカラッポの頂点なのかと、つい邪推してしまった。
ただ、お約束というべきか、乾は最後には草加の呪縛から離れていく。このへん、乾らしくなく、しょせんどうやったって、お祭映画だよなと思ってしまう。
映画にはディケイドがひんぱんに登場する。ディケイド・ファンにはいいが、ちょいカッコよすぎだろう。おかげで、カッコ悪いライダーたちが引き立っていいのだか。